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htmlText_9E5ABBCE_8494_5ABD_41D9_26914162F4E5.html = VUILD
NESTING
NESTINGは、デジタルファブリケーションを活用することで、施主自ら設計し、施工できる建築サービスである。基礎から仕上げまでの全工程を、素人で建てられる工法を開発することで、施主やその関係者たちによって、短期間で完成させることが可能である。 地域材とデジタルファブリケーション技術を活用し、建築部品をキット化することで、職人不足・資材高騰という日本の建築業界が抱える課題に挑んだ。
htmlText_9EF717E4_848C_CA6E_4195_0F66ECAC8E7C.html = VUILD
NESTINGプロジェクトの部材モデル
NESTINGで開発した構造躯体の接合部の部分模型である。 構造躯体は、素人二人ほどで運べる軽量なユニットとし、技術を要さない接合部のディテールを設計することで、誰でも・何処にでも建てることのできる建築構法とした。 また、基礎は、単管打ち込み式の杭基礎とすることで、素人施工や移築を容易にし、短工期・低炭素の建築プロセスを実現した。 内壁や外壁は、施主の好みに合わせてカスタマイズできる。
htmlText_9F222A6C_84F4_FA7E_41DA_77E06550976A.html = VUILD
「まれびとの家」の模型
「まれびとの家」は、地域の木材、ShopBotを使ったデジタルファブリケーションを使い構築した現代の合掌造り建築である。
現地の素材生産者が木材をデジタル加工することで、既存のバリューチェーンを介さずに、直接エンドユーザーに製品を届けられる仕組みを作る狙いを持った「まれびとの家」の建設は、そのプロトタイプと言える。
また、竣工後には短期滞在型シェア別荘としての役割を担うことで、「観光以上移住未満」の家の在り方を提案し、人が入れ替わりで「家」を共有していくことで「都市」と「地方」を結ぶことも目的のひとつとしている。
htmlText_9F2F414D_84FB_C7BE_41D4_7671F4BB9B0A.html = VUILD
平面図と構造要素のレプリカ
NESTINGサービスを使用して建設された住宅の断面を補完するため、本展では、同じ住宅の総面積をシミュレートした平面図をシールとして床面に展示している。
平面図には、各空間の分割と占有状況が示されており、来場者が日本のプレハブ住宅モデルの寸法を理解しやすいよう工夫している。
ショーウィンドウには、パリカ合板で作られたパーツのインスタレーションを展示している。数値制御機(CNC)のデジタルルーターを用いて切削されたこれらのパーツは、住宅の構造部材のモデルである。まるで建築物を解剖するかのように、部材の組み合わせやその細部を観察することができる。
htmlText_9F726E30_849C_5DE6_41CE_6393FA8A2318.html = VUILDについて
VUILDは、2017年に秋吉浩気氏(1988年大阪生まれ)によって設立された日本の建築系スタートアップ企業である。同社は「まず自分でやってみる(自律)」「それを深める(分散)」「分かちあう(協調)」という3つの価値観を核に、木工の推進を通じて日本列島全体の地場産業の振興を目指している。
農林水産省の最新データによると、日本列島の約3分の2は森林で覆われている。その多くは人工林で、第二次世界大戦後の国土再建と木材生産を目的とした再植林政策の結果である。しかし、ここ数十年で日本は他国から安価な木材を輸入するようになり、国内産業は弱体化し、これらの森林資源の過少利用をもたらした。こうした状況下で、VUILDは、森林放棄が進む地域において、成熟した木の利用を促進するシステムを開発した。森林放棄とは、かつて農業や畜産、森林管理などに活用されていた自然地域の利用を一時的または永続的に中断することで、その影響は未だ測定できていないのが現状だ。
VUILDは、地域資源を活用し、地域住民と協働しながら建築プロジェクトを進めることで、持続可能な地域経済システムを構築するとともに、地域の生産力を回復させることで地域産業と環境の活性化を目指している。このために、コンピュータ制御によって切削工具の動きを厳密に管理し、複雑な形状の高精度部品を生産できる加工機であるCNCフライス盤(Computerized Numerical Control)を導入するシステムを開発した。これらの加工機は、誰もが地域の木材を使って住宅や建物、家具などを製作できるプラットフォーム「EMARF」を通じてネットワーク化されており、現在までに250以上の地域に導入済みである。
日本におけるもう一つの深刻な社会課題は、技能労働者の不足である。国内の大工人口は1980年の90万人から2020年には30万人に減少し、そのうちの43%が65歳以上である。この労働不足は、建設工事の遅延やコスト増加を引き起こしている。
VUILD は、地域産木材の利用促進、建設中の二酸化炭素排出量の削減、そして技能労働者でも複雑な構造物を容易に構築できるデジタルファブリケーション技術を採用することで、現代の日本が直面している二つの大きな問題、つまり技能労働者不足と環境負荷低減に統合的なアプローチで取り組んでいる。
htmlText_9E9B8B89_84FD_BAA7_41D6_0BF8B006FA58.html = クレジット
『解剖学:日本における住まいのかたち~プレハブ~』
キュレーター
Natasha Barzaghi Geenen
キュレーションアシスタント
Carolina De Angelis
Thelma Nakae
プロデューサー(展示スペース内)
Erika Litsumi Uehara
Karen Garcia
プロデューサー(屋外)
Juliana Cortes
アシスタントプロデューサー
Leonardo Stephens Domingues
Natália Longhi
展示設計
+5581 Studio | Hayato Fujii
H2C Arquitetura | Helena Camargo, Teresa Vicini Lodi, Victor Algranti e João Serejo
展示セノグラフィー
Madeiras Yervant
展示ケース・ベンチ
Bandeira Design
部材加工・展示ケース設置
Forest Fábrica Digital
畳
Saeki Ind. e Com. Ltda
構造設計 (屋外)
Timbau Estruturas | Alan Dias e Paulo Bastos
木材に関するコンサルティング
Gil Mello
ボックス・トラス
José Aldo Dell’ore
Play Party
塗装
Manos Cogrossi
照明設計
Iluminarte | Kris Natal e Karina Mendonça
照明
Santa Luz
照明(屋外)
Maroli Montagem
音響・映像
Maroli Montagem
設営コーディネーター
Art Level | Diego Marques
設営コーディネーター(屋外)
Alan Dias
Paulo Bastos
設営チーム
Daniela Guimarães
Carlos Roberto Bento
Rafael Calixto da Silva
コンテンツ・アドバイザー
Yoshikuni Shirai
タイムライン制作
Tatsuo Iso
デザイン
Thiago Minoru
印刷(ビジュアルコミュニケーション)
F-THEO
国際輸送
Waiver Arts Logística
国内輸送
Alves Tegam
翻訳
Komorebi Translations
Matthew Rinaldi
Alcance Consultoria de Idiomas | Eduardo Lasota
テキスト校正
Armando Olivetti
消防隊
JK Fire
公式写真撮影
Marina Melchers
公式ビデオ
Fuerza Films
アクセシビリティ
Hiromi Saito
Felipe Lima
Vinicius Garcia
アクセシビリティコンサルティング
Daina Leyton
アクセシビリティ制作
Beatriz Matuck
ブラジル手話(Libras)
AHU - Acessibilidade Humanista Ltda
音声ガイド
Entrelinhas Comunicação Acessível
触覚・視覚コミュニケーション
Seal Acessibilidade
ウェブアプリ
Iguale
コラボレーション
MAYEKAWA ASSOCIATES, ARCHITECTS & ENGINEERS
National Archives of Modern Architecture, Agency for Cultural Affairs
DAIWA HOUSE INDUSTRY CO., LTD.
Sekisui House, Ltd.
SEKISUI CHEMICAL CO., LTD.
KISHO KUROKAWA architect & associates
GK Design Group Incorporated
MISAWA HOMES CO., LTD.
Riken Yamamoto & Field Shop
SUS Corporation
YASUTAKA YOSHIMURA ARCHITECTS
VUILD, inc.
htmlText_92BA5883_84B4_313F_41D1_81F2F965F621.html = 分解の試み
サンパウロ市の土木建設の現状を考慮し、納期とコストをより厳密に管理しながら効率的で無駄のない日本の建設ロジックを観察して確認したことがきっかけとなって、日本のプレハブ建築に焦点を当てた展示を開催することを決心した。
その分野におけるブラジルと日本の現実と課題は異なるが、ブラジルの私たちの現実に最も適したベストプラクティスを取り入れる可能性があるため、その交流は常に有益である。
この建造物では、オフサイトで建築部材を製造し、建設現場へ発送し、その場で組み立てる建築工法である。その歴史は非常に古く、研究者によると17世紀にはすでにこのような建築が見られたとされている。
日本はこの分野における模範的な存在である。よりクリーンな建築は、材料の無駄を最小限に抑え、廃棄物の発生を削減するに注力していることが実証済みである。また、デザインとエンジニアリングの観点からも、非常に高い効率性を伴う、極めて洗練された建築を有する。
このプレハブ住宅をここで展示するという決定は、ジャパン・ハウス サンパウロの今年度の企画展のプログラムを策定するにあたり、私たちが指針とした一連の原則に基づいた。
最近の『Japanese principles : design and resources』展でも取り上げられたサステナビリティは、私たちが様々な形で取り組んでいる重要な柱の一つである。例えば資源面では、植林された木材を活用することで地域産業の活性化を図り、木材輸入に伴う悪影響を軽減し、二酸化炭素排出量の削減に貢献することを目指している。
協働作業や集団行動の重要性を意識することも、こうした基本理念の一つである。日本では、より良い社会、つまり集団の利益のために、個人が責任を持つという意識が強く根付いている。これは些細なことにも表れており、例えば日本の街中にゴミがないこと、公共交通機関の中が静かであることなど、誰もが他人に迷惑をかけないように気を配っている。
NESTING の住宅は、将来の居住者がその友人や家族の参加を得て家を建てられるように、地元産の木材を使用し、丁寧に識別されたはめ込み簡単なパーツを納品することによりこれらの基本理念を取り入れている。
その住宅を解剖し、これらの建造物の真の解剖学的構造であるそのいくつかのパーツをも展示することで、その精度と技術のレベルを証明している。
JHSPの屋外エリアでは、このテーマを活かし、来館者の方々とのインタラクションを提案し、伝統的な日本家屋の特徴的な側面を体験してもらうことで、新たなアプローチを試みている。床に敷かれた畳は、家の面積を測る単位として機能し、非常に独特な触覚的知覚を生み出す。この観点から見ると、畳は、組み合わせることで家の規模を決めていた既製の要素であったことから、プレハブ論理の先駆的な存在と言えよう。
日本の伝統的な建築のもう一つの重要な要素は、配置に応じて空間を変化させ、その使い方に大きな柔軟性をもたせる、襖や障子といった可動式の室内間仕切りの使用であり、これは非常に現代的な考え方である。
より充実した体験を楽しむために、展示会で紹介されている補足のテキストを併せて読むことを勧める。そして、日本のいくつかの暮らし方が、コミュニティ生活の実践を豊かにし、都市形成への社会参加を促す取り組みを後押しするきっかけとなることを願っている。
ナターシャ・バルザギ・ジーネン
ジャパン・ハウス サンパウロ企画局長および展示キュレーター
htmlText_14A31595_06B4_CEB9_4191_07364BC7C0D2.html = 大和ハウス工業株式会社
外張り断熱通気外壁のデモンストレーション
夏は高温多湿、冬は寒く概ね乾燥する日本の気候は、住まい手と住まいに大きな影響を及ぼす。人々が快適に暮らせる住まいづくりのため、モジュール建築・プレハブ建築を専門とする日本最大級の建設・不動産開発会社である大和ハウス工業株式会社は、外壁に外張り断熱層と通気層を設けたシステムを開発した。
従来の断熱工法は充填断熱、つまり柱と柱の間の壁の内側に断熱材を充填するので、外部の熱気や冷気が構造部材を通して室内環境に伝えられてしまう。一方、このソリューションは、柱の外側にも断熱材を施すことで、構造躯体をすっぽり覆う断熱を実現するのである。これにより外気の影響を抑えて、壁の中の結露を防ぐとともに、エネルギー効率と耐久性が向上されるため、住宅の冷暖房設備にかかるコストが削減できる。
ここに展示してあるモデルは、右側が従来の外壁、左側が外張り断熱通気層を備えた壁である。触ってみると温度差が分かり、左側の方がより暖かいことがわかる。
htmlText_9FA7E913_84BB_D35F_41C0_8EC839A7F0B4.html = 日本の家屋:古代と現代
現在、建築分野では、プロジェクトに付加価値を与え、より多くのユーザーにリーチでき、無駄を削減する重要な方法として、工業化建設、すなわちオフサイト建設の重要性について広く認識が広まっており、これはリーン建設の概念とも一致する。そして、工業化建設の柱の一つには、モジュール式調整がある。
日本の伝統的な家屋に見られる先祖伝来のモジュール化を考慮すれば、建物にモジュール設計を採用することは決して新しいことではない。アルガンが『プロジェクトと運命』で示唆するように、モジュール寸法を畳のようにモジュール物体に置き換えることで、日本の伝統的な家屋は「工業化された」建築の古代の例として捉えることができる。その構成要素は手作業で製造されているものの、日本の伝統的な建築で私たちが目にするのは、空間の創造に柔軟性をもたらす、寸法的に互換性のある建築部材である。
ジャパン・ハウスが工業化木材を用いた日本のプレハブ住宅の展示会をサンパウロで開催する今、VUILDの現代住宅で紹介する建築は、日本の住宅を再考し、現代における新たな意味を与える貴重な機会を認識することが重要である。ソフトウェアを用いて開発するVUILDのデジタルモジュール建築は、後にデジタルファブリケーション技術で製造される自分たちの家の設計に参加するよう私たちを促す。
しかし、現代の課題について語る際には、迅速性、効率性、柔軟性を追求する以上に、この工業化された建築の持続可能性とエコ効率という相互に関連した概念を考慮する必要がある。なぜならば、エコ効率が、持続可能な開発を促進する実践につながるからである。
例えば、その技術を表す頭字語のCLT(Cross-Laminated Timberまたは直交集成板)やGLT(Glued Laminated Timberまたは接着集成材)といった工業化木材を天然で再生可能な原材料として用いた住宅を設計することは、大気中への炭素排出量を削減するための客観的かつ実行可能な代替案に相当し、結果として世界が直面している環境危機を緩和することにつながる。
しかし、この技術を用いたソリューションは、各国の状況に応じて必ずしも拡張可能とは限らないので、工業化木材の使用がメリットをもたらすという単一のシナリオではないことに留意することが重要である。スウェーデン、ノルウェー、デンマークなどのヨーロッパ諸国では、それらの領土に天然林と植林林を含む広大な森林があり、コンクリートや鉄鋼などの他の素材と比較して、工業化木材は入手しやすく、経済的にも競争力があるため、工業化木材の広範な使用は文化的および経済的要因と結びついている。
一方、プレハブ工業建築にも鉄筋コンクリートが長年使用されてきた他のヨーロッパ諸国やブラジルでは、工業用木材はハイブリッド建築に導入され、これら2つの素材の組み合わせによる相乗効果を活用している。ハイブリッド建築における二酸化炭素排出量の削減率は、コンクリートと鉄鋼の消費量の削減により、役60%と推定される。循環型経済の原則、すなわち材料の削減、再利用、リサイクルは、この新しいアプローチにも反映されている。
地球規模の気候危機の深刻さに鑑み、工業化木材を使用する状況は整っており、JHSPの展示はこの点を改めて考えるのに絶好の機会である。工業化木材を用いた工業化建築における最大の課題と魅力は、持続可能な開発の原動力となるイノベーション、そして建設業界が自ら構想できる未来像に関連する
____________________
(1) ARGAN, Giulio Carlo. Projeto e destino. São Paulo: Ática, 2000. (Coleção Temas, 71).
htmlText_9E5FE5F5_849C_4E6E_41AC_9AE0C32BD809.html = 畳:空間と意味の次元
畳はカーペットに似た床材の一種であり、三つの部分から構成されている。中間層は「畳床」と呼ばれ、乾燥した藁などの材料で作られる。その中間層は、イグサ(Juncus effusus)を織り交ぜて編まれた、「畳表」と言う外側の2層の間に挟まれる。畳の端には、畳の角の摩擦を防ぎ、畳と畳との間の隙間を埋めて、より均一な敷き合わせを確保するために欠かせない、「畳縁」と呼ばれる布がある。天然素材で作られているため、畳には保温性と吸湿性があり、敷かれた空間の湿度をコントロールするので、快適な温度環境づくりにも貢献する。
畳のサイズは日本国内の地域によって異なるが、180cm×90cmが全国的に定められたおおよその基本寸法であり、縦と横の比率は2:1と定義されている。標準化された寸法を有するため、畳は建築単位としても機能する。鎌倉時代(1185-1333)から室町時代(1336-1573)にかけて畳は広い空間を覆うようになったため、それが確立されたと考えられており、畳の枚数で部屋を設計したり、表現したりすることが可能になった。例えば、「六畳」は居間や寝室でよく使われる寸法で、畳6枚分を表す。「四畳半」は茶室でよく使われる寸法で、畳4.5枚分を表す。本展では、床に見られる長方形の跡や、家具の形状や配置は、このモジュレーションから着想を得ている。
畳の配置には特定のルールがあり、それは機能面だけでなく、文化的、美的価値も反映している。四枚の畳の角が会って十字路を形成すると、いくつかの状況において不吉とみなされる場合があるため、畳はこれを防ぐように配置される。畳の配置は常に空間に視覚的なリズムと流れを生み出し、人々の動き方や環境の利用方法に影響を与える。日本の人間工学、家具、装飾、瞑想のための要素の多くが、畳の上に座る人、つまり正座(膝を曲げ、足を後ろに伸ばし、お尻を足の上に乗せる日本の伝統的な座り方)の目線の高さになるように設計されているのも偶然ではない。
さらに、畳は日本の伝統的な家屋の特徴である他の要素とも密接に関係している。畳は床材の一種であるため、その保存と清潔さが求められ、玄関(家の入口にある、靴を脱ぐ場所)はこの点において重要な役割を果たす。一方、主に木と紙で作られた軽量の引き戸の一種である襖や障子は、畳のモジュール性に合わせて空間を分割したり統合したりすることを可能にする。畳は部屋の物理的な面積や大きさを定めるのに対して、襖と障子は、その時々のニーズに合わせて空間を変化させ、多機能な空間を創造するのに貢献する。
畳は、単なる建築要素ではなく、シンプルさ、純粋さ、機能性など、日本文化の本質的な側面を結び付けるものである。
htmlText_98746C85_84BD_BEAE_41DB_5536F8C9399D.html = 空間で遊ぶ
集合的想像力の一部であり、写真や本、映画、絵などで見る伝統的な日本家屋は、多くの要素で構成されている。
いくつかの屋根には、雨や日差しを遮りながら風通しを良くする、広い軒がある。その木造の構造や壁は、ほとんどの場合、釘を使わず、木組みの技術を用いて建てられている。
湿気を防ぐために、地面からやや高く設計されている。
紙で作られた障子は室内と屋外を密接につなぎ、拡散した自然光を室内に取り込む役割を果たす。日本の住宅では、自然との一体感は非常に重要視される。また、縁側と呼ばれる、屋外と繋がるベランダのような廊下があるのが一般的である。
家の面積は、床に敷く畳の枚数で決まる。「起きて半畳、寝て一畳」という日本の諺は、必要以上の富を求めるべきではないことを思い出させてくれる。
家の内部では、部屋は襖で仕切られており、開閉することで、占有や用途に応じて空間の構成を変えることができる。
天然素材の使用は、これらの住宅の触感を高める上で重要である。例えば、稲わらで作られる畳は、独特の手触りと香りがあり、住宅に快適な温熱環境をもたらす。
遊び心あふれるインタラクティブな私たちのこの家は、オリジナルの要素や、これらのコンセプトからインスピレーションを得た要素がいくつか取り入れられているので、体験したり、操作したり、匂いを嗅いだり、触ったりして、自由に遊んでみてください。引き戸を動かして、インテリア空間を変えたり、デザインし直したりしてみてください。
しかし、繊細な畳と家の衛生状態を大切にするという日本の良き習慣に従い、靴は外側に置いておくことを忘れずに。そうすれば、我が家も清潔で清らかになり、帰りたくなる場所になる。
htmlText_9D980FD4_8574_CED9_41B1_C38162646DCC.html = 1946
プレモス
/前川國男・山陰工業
建築家・前川國男による、戦後の住宅不足への対応
1945年8月に太平洋戦争(第二次大戦)が終了したが、戦後の日本では、帰還兵や海外からの引揚者などで住宅難が深刻化していた。これを救うべく、ル・コルビュジエの元で修行した経験もある建築家の前川國男は、構造家の小野薫と組んで量産住宅を開発する。木造のパネルを組み立てる工法で、大工職人に頼らなくても建設が可能な設計になっている。生産は戦時中に飛行機を生産していた<山陰工業>が、その技術を活かして担当した。供給は1946年に始まり、改良を経ながら51年ごろまで続けられた。全国に1,000戸ほどが建てられ、その多くが炭鉱労働者用の社宅だったとされる。現在は残っていない。
htmlText_98D38945_848B_F33B_41DC_3B42E9818321.html = 1959
Midget House
/DAIWA HOUSE INDUSTRY
ベビーブームに乗り勉強部屋として大ヒット
戦後の第一次ベビーブーム(1947~1949年)で生まれた子どもたちが成長する頃になると、住宅に勉強部屋が求められる。その需要に、敷地内に離れを建てるというやり方で応えたのが、この超小型ワンルーム建物だった。3.6x2.7mの広さで、コンクリートブロックを並べた土台の上に軽量鉄骨の柱を建て、その間を木材の繊維を材料にしたハードボードで埋めるという構造で、屋根もハードボードを亜鉛引き鉄板で裏打ちしたものだった。手頃な価格だったこともあり、デパートでの展示即売が大成功。その後の本格的なプレハブ住宅の普及を先導する役割を果たした。
htmlText_9CFA576F_848C_DFC8_41C8_C1CF798F6FCC.html = 1960
セキスイハウスA型
/Sekisui House
軽量鉄骨による日本初の本格的工業化住宅
塩化ビニル製パイプやポリバケツなどを製造していた化学メーカー<積水化学工業>が住宅の分野に進出し、分社化したのが<積水ハウス>だ。その積水ハウスから最初に発売されたのがこのA型と呼ばれるプレハブ住宅だった。軽量鉄骨の平屋で、外側は鏡のように光を反射するアルミのパネルとスチールサッシのガラス戸、妻側にはプラスチックの庇と控え壁が張り出す。カタログの写真にはモダンデザインの家具があしらわれ、そのイメージは未来の住生活を予感させるものだった。しかし200戸ほどが出荷されたが、1961年に伝統的な住宅の形に近い改良型のB型へと受け継がれる。また1962年にはレジャー用住宅としてC型も開発された。これはFRP製で現代のユニットハウスの原形とも言えるものだった。
htmlText_9C952C6B_849C_51C8_41CD_B938D55917A0.html = 1969
Capsule lodge “Hermit Crab”
/日光化成・GKインダストリアルデザイン
レジャーハウスの流行
レジャーハウスとは週末の休暇を過ごすための小さな小屋を指す。工場で組み立てたものを現場に運んで据え付けるユニット工法は、山でも海でも施工が容易で、これに向いていた。フィンランドで1968年に開発されたUFO型の住宅「FUTURO」が有名だが、1970年代の初めには日本でも様々なメーカーがこの分野に参入。そのひとつが化学工業会社の<日光化成>で、工業デザイナーの栄久庵憲司率いる<GKインダストリアルデザイン研究所>と組み、この製品を開発した。広さは約16㎡で、鉄骨の主構造をプラスチックの外皮が覆っている。価格は発売当時250万円ほどだったという。
htmlText_9C4D04EE_8494_D2C8_41B3_CC68B1E4FB0A.html = 1970
セキスイハイムM1
/SEKISUI CHEMICAL・大野勝彦
工場生産を究めたユニット工法
<積水ハウス>を独立させた化学メーカー<積水化学工業>が再び住宅分野に進出して開発したのがこのプレハブ住宅だ。設計は東京大学の内田祥哉研究室で建築の工業化を研究していた大野勝彦が主導した。2.4x5.6x2.7mの箱型ユニットは、軽量鉄骨と折板屋根、壁、開口、床、天井の各パネルを合わせたもので、工場で組み立ててからトラックで現場へ運ぶ。クレーンで土台の上に積み上げ、接合すると完成する。2階建ての家が、半日で出来上がってしまうという合理的なものだった。工場生産比率を80%にまで上げることで、価格も大幅に抑えられ、発売後の5年間で1万7000戸を販売するヒット商品となった。
htmlText_9F35129A_849C_3148_4188_0CF1CF5B6A0A.html = 1972
中銀カプセルタワービル
/黒川紀章
世界中を驚かせた交換可能なカプセル式集合住宅。
建築家・黒川紀章に設計により、1972年東京・銀座に建てられた、世界で初めて実用化されたカプセル建築。取り外しや交換を想定した140個のカプセルが2本の支柱に取り付けられ、それぞれが居住空間となっている。カプセル自体の大きさは、幅約2.7メートル×高さ約2.5メートル×奥行約4.2メートル。部屋の広さは約10㎡で、内部にはベッド、バスルーム、収納スペースなどの基本的な設備が備わっている。しかし保存の声が上がる中、カプセルはひとつも交換されないまま、建物自体が2022年に老朽化のため解体された。その際23個のカプセルが取り外され、国内外の美術館をはじめとした場所で、保存・公開されている。
htmlText_9C9E06AC_8494_7148_41BB_1EC063CD0E6B.html = 1977
ミサワホームO型
/MISAWA HOMES
木質系プレハブの「企画住宅」で大ヒット
木質系大型パネル構法によるプレハブ住宅で成長してきた日本の住宅メーカー<ミサワホーム>も、1973年のオイルショック以降、売れ行き不振に直面していた。そうしたなかで開発されたのがこのO型だ。使われたキャッチフレーズは「企画住宅」。平面や仕様を限定しながら、それが欠点ではなく、これからのライフスタイルを先取りした設計であることを言葉やイメージで伝えた。伝統回帰的な見た目も相まって、この戦略が見事に成功し、プレハブ住宅として破格の販売棟数1万棟超えを達成するのだった。
htmlText_9C7F0989_8494_734B_41CC_3C7B86FA0AF3.html = 2004
エコムスハウス
/山本理顕・SUS
アルミを用いて構造から内装まで
2024年に建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー建築賞」を受賞した建築家の設計によるプレハブ住宅。アルミの押し出し材をスライスしたX形断面の部品を嵌め合い接合して、1200x1200㎜のラチスパネルを工場で製作。これを市松状につないで建築をつくる。3階建てまで建てられ、12mスパンの大空間も可能。オフィスや工場など、様々な用途に適用できる。この工法を用いた量産化住宅が「エコムスハウス」だ。佐賀県鳥栖市に建てられたモデルハウスの内部には、SUSによるアルミ製家具も置かれた。アルミという素材は軽量で耐久性が高く、リサイクルに向いている。これを利用した循環型の住宅供給システムも、将来の展望として語られた。
htmlText_9C672E29_8494_F148_41CF_6ABB2961D3D6.html = 2011
エクスコンテナ・プロジェクト
/吉村靖孝
震災後の仮設住宅への提案
2011年、東日本大震災が発生。地震や津波により、死者・行方不明者が2万2000人を超える大惨事となった。以前から海運用コンテナを建築に転用する取り組みを続けていた建築家の吉村靖孝は、地震や津波により家屋を失った人たちのために、コンテナを改修した応急仮設住宅を被災地に届けるプロジェクトを立ち上げる。居室と水回りの各ユニットを自在に組み合わせて、平屋や2階建の住居とすることを想定。仮設から本設への移行も可能な設計としていた。しかし事業としては採用されず。宮城県石巻市に完成した試作品は、復興支援ボランティアの活動拠点として使用された。
htmlText_9DED3A2F_848C_7148_419F_AB513DEC3A5C.html = 2024
NESTING
/秋吉浩気
情報化時代のプレファブリケーション
理想とする家を、誰もが自分たちでつくれるようになる。そんな世の中を実現しようとするのが、建築家・秋吉浩気率いる<VUILD>が展開する「NESTING」というサービスだ。届けられるのは、デジタルファブリケーション技術で加工したスギ材からなる住宅キット。これを建築主は、家族や仲間たちと一緒に、楽しみながら組み立てることになる。内装のパネル化や、単管パイプの杭基礎にすることなどで、専門家でなくても建設できるよう工夫されている。部材の重量を10kg以下にすることにより、クレーンなしで建設が可能。屋根の太陽光パネルで、電力のオフグリッドも実現した。
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htmlText_92CDF4A6_8575_D178_41D0_440B52F23612.html = 日本は世界に類をみない「プレハブ住宅」大国と言えます。年間の建設戸数は約12万5000戸(プレハブ建築協会発表/2022年度)、日本のプレハブ建築市場規模は2024年に164億8,000万米ドルと推計されています。これはプレハブ住宅産業として成功した世界で類をみないものと言えます。またその生産技術や住宅性能、モジュール化などは日々進化し、世界的に見ても革新的なものと言えます。
1945年、第二次大戦の敗戦で国土が焼け野原となった日本は、戦後10年で「もはや戦後ではない」(経済白書/1951年)と宣言されるほどの復興を遂げました。1950年代半ば~1960年代には毎年9~10%という驚異的な実質経済成長率を記録し、高度成長期に突入します。この時期の日本は国際社会に復帰し経済的にも先進国の仲間入りを果たしましたが、同時に国民ひとりひとりに経済的な余裕が出てきたこともあり、日本人のライフスタイルは日々変化し、多くの国民がその理想の形として“マイホーム”を求めました。そこで生まれたのが日本の住宅産業とそれを支えた「プレハブ住宅」です。
背景としては、終戦後住宅が不足としていたところにベビーブーム(1947年~1949年)が起こり、住宅難に拍車をかけます。また1950年に勃発した朝鮮戦争により特需(1950年~1953年)が起こりました。ここで日本の基幹作業である重化学工業が息を吹き返します。特需も落ち着きその生産能力を持て余していた重化学工業界が目を付けたのが“住宅”でした。重化学工業の中心であった製鋼業界において1955年「日本軽量鉄骨建築協会」が設立され、やがて「プレハブ住宅」の生産・販売が開始されます。
1970年代に起きた2度のオイルショックにより、日本は青年期のような高度成長期を終え景気後退を迎えましたがやがて復活し1980年代半ば~1990年代初頭にかけてのバブル景気へと突入します。この時期、日本人はより多くの豊かさを求め、それにより「プレハブ住宅」も工業化が全面に押し出されたものではない瀟洒で個性的なスタイルのものが主流となります。しかし、バブル崩壊と“失われた30年”と言われる低成長期を迎えた1990年代半ば以降の日本では、大量生産・大量供給モデルの象徴のような「プレハブ住宅」は、魅力や存在意義を失いつつあります。
今年2025年は第二次大戦の終結から80年という節目の時を迎えます。日本人の平均寿命は男性81.09歳・女性87.14歳(厚生労働省/2023日本人の年)ですから、戦後から数えると人間でいえばそろそろ寿命を迎える時期と言えます。実際、日本社会は、超・高齢化&超・少子化に直面し、労働力不足や職人不足が深刻さを増しています。と同時に「都市部と地方の人材・情報格差の是正」や「CO2排出への対応」、頻発・激甚化する「地震や津波、豪雨などの自然災害対策」にも迫られています。これら山積する課題に「プレハブ住宅」は、これからどう対応していくのでしょうか? 日本の「プレハブ住宅」の歴史と、最新の取り組みを見ながら、未来の住宅のカタチについて考えてみたいと思います。
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## Tour
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tour.name = 解剖学:日本における住まいのかたち ~プレハブ~」